生成AIの普及と、サイバー攻撃の増加
生成AIが本格普及した2024年以降、世界のサイバー攻撃も急増しています。このページでは、生成AIの利用人口と1組織あたりが受ける攻撃数の推移を公表データで並べ、両者の関係から「言えること」と「言えないこと」を整理したうえで、攻撃が自動化する時代に防御側が備えるべきことを解説します。
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公開:2026年9月14日|数値は2026年9月時点の公表情報にもとづきます
監修:JIISセキュリティラボ 監修者情報を見る
概要
生成AIの世界的な普及と、サイバー攻撃件数の増加には、同じ時期に強い上昇傾向が見られます。生成AIの利用人口と、Check Point Research が公表している「1組織あたりの週平均サイバー攻撃数」を2022年から2025年まで並べると、両者には統計上とても強い正の相関があります。
ただし、相関関係は因果関係を意味しません。生成AIだけが攻撃増加の原因だと断定することはできず、地政学的な対立、ランサムウェアの産業化、脆弱性の増加、クラウド利用の拡大、攻撃の自動化など、複数の要因が重なっています。
世界の生成AI利用人口
世界の生成AI利用人口には、統一された公的な年次統計がありません。そのため、複数の公開資料から推計した値を示します。
| 年 | 利用人口 |
|---|---|
| 2022 | 約0.6億人 |
| 2023 | 約2.5億人 |
| 2024 | 約5.0億人 |
| 2025 | 約8.6億人 |
| 2026 Q1 | 約9.4億人 |
2025年以降は、Microsoft AI Economy Institute の「Global AI Diffusion」※2を基礎にしています。同調査では、世界の生産年齢人口(15〜64歳)のうち生成AIを利用した人の割合は、2025年後半に16.3%、2026年第1四半期に17.8%でした。2022〜2024年は、主要な生成AIサービスの公開利用統計などからの推計です。いずれも厳密な実測値ではなく、世界的な普及の規模をつかむための推計値として扱います。
世界のサイバー攻撃数
攻撃件数は、年ごとに計測方法をそろえるため、Check Point Research が ThreatCloud のデータから公表している「1組織あたりの週平均サイバー攻撃数」※1を使います。
| 年 | 週平均の攻撃数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2022年 | 1,168件(第4四半期) | +38% |
| 2023年 | 1,158件 | +1% |
| 2024年 | 約1,668件(参考値) | +44% |
| 2025年 | 1,968件 | — |
2023年はほぼ横ばい(前年比+1%)でしたが、2024年は前年比+44%と急増しました。2025年には週平均1,968件に達し、2023年の1,158件と比べて約70%増えています。
※1 Check Point Research の公表値:
2022年(第4四半期の週平均・前年比)/
2023年/
2024年(前年比)/
2025年(2026 Cyber Security Report)
※2 Microsoft AI Economy Institute「Global AI Diffusion」
相関と、その限界
2022〜2025年の生成AI利用人口と1組織あたりの週平均攻撃数からピアソンの相関係数を求めると、r ≒ 0.96 になります。1.0に近いほど強い正の相関を示すため、「生成AIが世界的に普及した時期と、サイバー攻撃が増えた時期には、非常に強い正の相関が見られる」と表現できます。
一方で、この数字には限界があります。データ点は4年分しかなく、生成AI利用人口の初期の値は推計で、攻撃数にも第4四半期の値や参考値が含まれます。この相関は、生成AIと攻撃増加の因果関係を証明するものではありません。
特に注目すべき、2024年以降
生成AIが一般利用から本格普及の段階へ移った2024年以降、利用人口は2023年から2025年にかけて大きく広がりました(02の表)。同じ時期に、1組織あたりの攻撃数も2024年に前年比+44%、2025年には2023年比で約70%増えています。
Check Point Research 自身も、2026 Cyber Security Report※1のなかで、攻撃者が自動化とAIを活用して、より速く、より大規模に攻撃を展開するようになっていると分析しています。
生成AIが、攻撃を増やしうる仕組み
生成AIが、サイバー攻撃そのものを新しく生み出したわけではありません。しかし、これまで一定の技術・語学力・作業時間を必要としていた攻撃の工程の一部を、効率化できるようになりました。
たとえば、フィッシングメールや詐欺の文面の大量作成と多言語化、標的ごとの文面の最適化、公開情報を使った偵察の整理、スクリプトやコードの作成支援、脆弱性情報の解析、ソーシャルエンジニアリング、攻撃作業の自動化などです。
その結果、生成AIは「攻撃できる人を増やす」だけでなく、「1人の攻撃者が実行できる攻撃の量を増やす」方向にも作用している可能性があります。
このデータから言えること・言えないこと
言えること
- 生成AIの普及と、サイバー攻撃の増加には強い相関が見られる
- 生成AIと自動化によって、攻撃者が攻撃を高速化・大規模化できる環境が整いつつある
言えないこと
- 攻撃が増えた原因は生成AIだ、と断定すること
- 生成AIが登場しなければ攻撃は増えなかった、と考えること(攻撃は生成AI以前から増え続けています)
攻撃の自動化には、防御の自動化を。
攻撃が高速化・自動化する時代には、防御側にも継続的な検知と迅速な修復が求められます。
「診断して終わり」では、変化し続ける攻撃には追いつけません。Webセキュリティを、定期診断から継続対策へ。
よくある質問
相関があれば、生成AIが攻撃を増やしたと言えますか?
数値の出典はどこですか?
中小企業のサイトも攻撃の対象になりますか?
このページの要点
- 1組織あたりが受けるサイバー攻撃は、2024年に前年比+44%、2025年には週平均1,968件(2023年比約70%増)に達した(Check Point Research の公表値)。
- 生成AIの利用人口と攻撃数には強い正の相関が見られる。ただしデータ点は4年分で推計を含み、因果関係を示すものではない。
- 生成AIと自動化は、攻撃を高速化・大規模化・低コスト化し、以前から続く攻撃の増加を加速させる要因の一つになっている可能性がある。
- 攻撃が自動化されるほど、防御側にも継続的な検知と迅速な修復の自動化が重要になる。
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